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2007年2月15日(月)
<気が付けば貧困層――格差の実相―― 支える「請負」年収300万 (1)/東京新聞2月15日朝刊から>
名古屋市から南西へ約50キロ。シャープの液晶テレビ「アクオス」の一大生産地として全国的に有名になった三重県亀山市。
<工場内で働く従業員約三千八百人のうち、二千二百人はシャープの正社員。残りの千六百人のほとんどは外部の製造請負会社や人材派遣会社が全国から集めた非正規雇用者らだ。
これがシャープの正社員との間で大きな所得格差を生む背景になっている。>
<亀山工場で働く請負労働者の年収は三百万円前後が相場。対してシャープ正社員の年収は平均七百四十三万円。
単純比較で二倍以上の格差がある。ただ、三百万円は大手メーカーで働く請負労働者の平均相場でもあるという。>
<先端工場では、高度な専門性を備えた少数の正社員と、低賃金で働く単純労働者に二極化される傾向にある。>
<景気拡大が戦後最長を更新するなど、華々しい日本経済復活劇の裏に、低水準の賃金に固定される労働者の問題がクローズアップされている。
なぜ格差が生まれ是正されないのか。貧困層の実態に迫った。>
(続く)
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2007年2月14日(水)
<「働く貧困層」13億7000万人 1日1人当たり2ドル相当額未満で生活 失業1億9520万人 44%が若者 成長続く世界経済も改善に直結せず ILO報告/東京新聞2月13日夕刊を読む>
<働いてはいるものの一日一人当たり二ドル(一ドルは約百二十一円)相当額未満で暮らしている「働く貧困層」が、全世界で推計十三億七千万人に上ることが、ILO(国際労働機関)の報告で明らかになった。
また、世界全体の失業者は一億九千五百二十万人、失業率6・3%で、特に若者が失業問題の影響を最も受けているという。>
<ILOの「世界の雇用情勢二〇〇七年版」によると、1日一人当たり二ドル相当額未満で生活している「働く貧困層」が最も多いのは中東・北アフリカで、サハラ以南アフリカが続いており、これらの地域では十人に八人が「働く貧困層」と推計されている。>
<全世界の失業者の44%は、十五〜二十四歳の若者が占めており、若者の失業問題は世界的に共通な最重要課題となっている。>
★ごく大筋を紹介したが、この報告は金もうけ優先の現在の世界経済の仕組みそのものに、根本的な欠陥があることを示唆している。
その秘密を解き明かすには、社会主義的な手法を探求しつつある中国、ベトナム、さらには南米諸国の積極的な試みを研究することが、欠かせないだろうと思う。
根本は戦争をなくすことにある。その方向を照らし出している日本国憲法の重要性を、再認識することが欠かせない。
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2007年2月13日(火)
<ニュースを捏造する安倍首相とNHK 性奴隷番組の改竄判決 /「週刊金曜日」2月9日号、浅野健一(ジャーナリスト、同志社大学教授)を読む>
この判決については、評価がさまざまに分裂している。それはなぜか、を考えていきたい。
現在の言論状況が分裂しているように見えるのは、意図的なねじ曲げを企む勢力が存在するからだ。
まず浅野教授の見解を紹介する。
<南敏文裁判長は「国会議員などの発言を必要以上に重く受け止め、当たり障りのないような番組にするよう指示、修正を繰り返し改編が行われた」などと認定し、『NHK』に二〇〇万円の支払いを命じた。
NHKは同日上告した。私は東京高裁一〇一号法廷で傍聴した。バウネットの長い闘いと、安倍氏らが放送前にNHK幹部と会い、番組内容に偏りがあると指摘したことを報じた〇五年1月一二日付『朝日新聞』の調査報道と元NHKチーフプロデューサーの内部告発が実を結んだと思った。>
<判決文には、NHK幹部が右翼団体や「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」議員らの圧力に屈していった経緯が、証拠をもとに生々しく再現されている。
判決は、放送四日前の〇一年一月二六日、野島直樹担当局長と松尾武放送総局長が試写の場に現れたのを契機に「改編」が本格化したと指摘。
安倍氏が放送前日に両氏に会って「従軍慰安婦問題」について持論を展開し、「公正中立の立場で報道すべきだ」と強調した後、両氏らが制作者を無視して編集権を濫用したと断定した。>
★ところが、この判決を正確に報道するのではなく、「判決報道の改竄」が目立った、と浅野氏は指摘する。
具体的にはNHKの「ニュース7」は、<判決は、国会議員が具体的に番組に介入したことは認められないと述べた」などと歪曲。
こんなでたらめが許されるのか。
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2007年2月12日(月)
<安倍内閣の支持率分析 就任4カ月…異例の急降下 不人気初めて上回る 参院選へ「危険水域」/東京新聞2月11日朝刊、2面「スコープ」から>
<安倍内閣の支持率、不支持率の動向に注目が集まっている。共同通信調べでは今月、不支持率(44・1%)が支持率(40・3%)を初めて上回った。
こうした数字の推移は、4月の統一地方選、7月の参院選の結果に大きな影響を与えることになる。>
<安倍政権が発足した昨年九月、支持率は65%。郵政造反組の復党で国民の反発を招いた昨年十二月には48・6%、多額事務所費計上が発覚した今年一月には45%と落ち続け、今月はついに40・3%。
人気を「売り」に政権に就いた安倍首相にとっては、今月の逆転劇は懸念材料だ。
現在の安倍内閣の数値は、小泉内閣の「最悪の時期」に肉薄しているといえる。
同年七月の参院選で、小泉自民党が獲得議席で民主党に敗れたことを考え合わせると、「危険水域」に達しつつあることは間違いない。>
★国民の切実な要求に背を向け、平和憲法を投げ捨てようとしている安倍内閣が、支持率を落とし続けているのは、当然と言える。
このままじりじりと支持率を落とし続け、貧血状態に陥るのか、あるいは起死回生の秘策を講じることができるのか、注目しよう。
肝心なことは、国民が主権者であることを、忘れてはならないということだ。
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2007年2月11日(日)
<日の丸・君が代強制 懲戒教員ら173人提訴 東京地裁 都に処分取り消し求め/東京新聞2月10日朝刊、社会面から>
<卒業式や入学式の日の丸掲揚や君が代斉唱で、東京都教育委員会の指導に従わなかったとして、懲戒処分を受けた都立高校の教員や元教員百七十三人が九日、「起立や斉唱の強制は憲法違反」として、都に処分取り消しと一人五十五万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。
原告側によると、日の丸・君が代をめぐる処分取り消し請求訴訟ではこれまでで最大規模という。>
<訴状によると、都教委は二〇〇三年十月の通達で、日の丸掲揚や君が代斉唱を職務命令として教員に強制。
〇四年春の卒業式などで、起立や斉唱をしなかったり、ピアノ伴奏を拒否したりした原告らは、戒告や減給などの懲戒処分を受けた。
通達以降に処分された教員数は、延べ三百四十五人に上る。
原告側は「日の丸・君が代の強制は憲法で保障された思想・良心の自由を侵害しており、教育基本法で違法とされている不当な支配にあたる」としている。
同様の訴訟では昨年九月、都立学校の教員ら約四百人が起立や斉唱の義務が存在しないことの確認を求めた訴訟の判決で、東京地裁が「日の丸・君が代を教員や児童生徒に強制するのは違憲、違法」と判断している。
原告団長の尾山宏弁護士は「教員や生徒だけの問題ではなく、すべての人の心の自由を守るための裁判だ」と述べた。
★力づくで思想・良心の自由を踏みにじろうとする東京都教委の暴圧を許すことができない。
昨年九月の東京地裁判決は、大きなともし火となって輝いている。今回の提訴は、追撃ののろしと言えるだろう。
大きな声援を送りたい。皆さん方のご支援を!
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2007年2月10日(土)
<「させられる」教育の危機 政治による支配 意欲を失う教師/東京新聞9日夕刊から。野田正彰・関西学院大教授(9日HPの続き)>
<教育基本法の「改悪」は、日本教育学会歴代会長の「見解と要望」などの反対にもかかわらず、郵政民営化選挙で選ばれた小泉チルドレンらの翼賛によって可決された。
教育再生会議の委員には、日本の教育学を代表するような学者は一人も選ばれていない。
座長の野依良治氏は優れた化学者であっても、教育学者ではない。近現代の教育の歴史も、思想も知らなくとも、専門委員だというのである。
教育再生担当の首相補佐官と称する山谷えり子氏に至っては、学校、市民運動が取り組んできたジェンダーフリーへの攻撃を政治活動の中心にしてきた程度の人である。
彼らは、国家のための人材育成の教育ではなく、教育の機会を普遍化し個人を確立することによって格差の少ない社会を創っていこうとした、近代教育の理念すら分かっていない。>
<教師と子どもの自由な交流を許さない教育行政によって、教師の疲労感は増大し、教育への意欲は低下している。
二〇〇三年から「君が代」斉唱などを強制してきた東京都を見ると、前年(〇二年)の病気休職者は二百九十九人なのに、翌年より急増し、〇五年には五百四十七人と約二倍になっている。
しかも、そのほとんどはうつ病による休職である。>
<憲法一九条に定められた思想及び良心の自由への抑圧は、子どもとの人間関係に生きる教師にとって、とりわけ苦痛である。
…させられる苦痛からくる苦痛を、教育危機の信号として受けとめねばならない。>
★精神医学の専門家による、痛烈な、的確な教育行政批判である。深く感銘した。これを読ませたい権力側の相手には、おそらく理解不能であろう。
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2007年2月9日(金)
<「させられる」教育の危機 政治による支配 意欲を失う教師 (野田正彰・関西学院大教授、評論家。専門は精神医学)/東京新聞9日夕刊、文化欄から>
<一つの社会は、時の政治権力だけによって動いているのではない。慣習、文化、文明、技術、信仰など、いずれをとっても時の政治権力の方針よりも長い時間幅ををもって機能している。
教育もまたそうである。
もし時の政治権力の揺れ動く決定がそのまま総ての分野に伝達されるとしたら、その社会の振動は激しく、あまりにも落ち着きを欠くものとなる。
むしろ時の政治権力が介入してはならない多くの分野と領域を持つ社会が、進歩と安定を調和させ、人々の生活を豊かにする。>
<これは近代の歴史、とりわけ全体主義、支配的党派による独裁政治、大政翼賛会運動などによる悲惨な歴史を通して、私たちが学んできたものである。>
<にもかかわらず小泉・安倍と続く自公政権になってから、議会多数派になれば何を決めてもよい、政治が教育を支配してもよいという、歴史の教訓を否定する動きが加速している。
安倍内閣での教育基本法「改悪」、教育再生会議の設定などにその風潮はよく表れている。>
★現在、私たちの目の前で進行しつつある「教育改革」なるものの危うさを、的確に指摘している。
安倍政権の政治権力が、泥靴で踏みにじろうとしている越権行為の本質を、憲法と教育基本法の光で照らし出すと何が見えてくるか。(続く)
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2007年2月8日(木)
<教育3法案 急仕上げ 首相指示で文科省一転 詰めはこれから 文教族は「拙速」懸念/朝日新聞2月3日朝刊、4面から>
<安倍首相が今国会の目玉と位置づける教育関連3法案の提出に向け、これまで腰の重かった文部科学省が急ピッチで動き出した。
しかし、具体的な中身が詰まっていないうえに、与党側との調整も進んでいないのが現状だ。
とりあえず間に合う部分だけを盛り込んだ「生煮え」の関連法案を提出する可能性もある。(西山公隆,中井大助)>
<文科省が法案を出す場合、文科相の諮問機関の中教審に諮問し、答申を得るのが原則。
(改めて諮問すると1年ぐらいかかり、今国会提出は無理。そこで、これまでの諮問に3法改正案と関係する内容が含まれていたので)「実は諮問済み」と解釈し、時間の節約を狙った。>
<中教審や文科省が3法改正案をどうにかつくっても、与党の文教族議員らが次の関門となる。
文教族議員にすれば、再生会議の3ヵ月間の議論や首相主導で3法改正案の国会提出が決められたことは「いかにも拙速」(文教族幹部)だ。>
★教員免許法、学校教育法、地方教育行政法の3法案を、そんなにばたばた「改正」してよいのか。
こんなことをやっていれば、教育現場はやりきれない。先生たちの嘆きと怒りの声が聞こえるようだ。
一番焦っているのは、目先の「改革」を誇示したくて仕方がない安倍首相だろう。
政治家の宣伝のために、子どもたちが犠牲になるのは許せない。政治家を気取る政治屋は引っ込め、と言いたい。
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2007年2月7日(水)
<民主議会の反発必至 米予算教書 社会保障費カット、戦費拡大/東京新聞6日朝刊、国際面から(6日、HPの続き)>
<【ワシントン=久留信一】ブッシュ大統領が五日朝発表する二〇〇八会計年度(〇七年十月?〇八年九月)の予算教書は、イラク政策の新戦略を受けて国防費が大きく膨らむ一方、財政赤字脱却のため社会保障費抑制に切り込む内容だ。
〇八年大統領選は事実上始まっており、イラク政策を批判する民主党が過半数を占める米議会との間で、厳しい対立を招くのは必至だ。>
<「〇九年に戦争を終わらせることができないなら、私が大統領として終わらせる」
ワシントン市内で二日開かれた民主党の全国委員会集会。次期大統領選の有力候補が勢ぞろいする中、ヒラリー・クリントン上院議員は声を張り上げた。
バラク・オバマ上院議員、ジョン・エドワーズ元上院議員もブッシュ大統領のイラク政策を厳しく批判した。>
<翌日、大統領は民主党下院議員らに対して超党派の協力を呼び掛けたが、累積でベトナム戦費を超えることになる予算教書は、その言葉とは裏腹に、民主党への挑戦状に等しい。>
★米ブッシュ政権は中間選挙で民主党に大敗したにもかかわらず、予算教書で激突の様相という。
イラクに続いて、米国のイランに対する軍事行動への懸念が広がる中、英国の有力なシンクタンクや非政府組織(NGO)などは五日、「イランへの攻撃は世界にとって悲惨な結果を招く」として、英政府に対し、米国に外交圧力をかけるよう促すリポートを発表した。(東京新聞、6日朝刊国際面、ロンドン=池田千晶)
振り返って日本政府はどうか。NATOの領域にまで自衛隊派兵を辞さないと発言した安倍首相。世界の潮流の変化も読めないのか。
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2007年2月6日(火)
<米国防費10%増 08会計年度予算教書 医療保険5年で1000億ドル抑制/東京新聞6日朝刊から>
<【ワシントン=久留信一】ブッシュ米大統領は五日朝(日本時間同日深夜)、二〇〇八会計年度(〇七年十月?〇八年九月)の予算教書を発表する。
歳出総額は約二兆九千億ドル(約三百五十兆円)。駐留米軍の増派を柱とするイラク新戦略を受けて、国防予算は拡大。
同時に、国防費と国土安全保障費を除く政策的経費(裁量的支出)も、三年ぶりに前年度を上回る見通しだ。>
<大統領は社会保障費抑制に数値目標を設定、一二年度までに単年度の財政赤字脱却を目指す方針を強調するが、政権発足後初めて民主党主導となった議会から、強い反発も予想される。
米メディアによると、イラク・アフガニスタン関連を除く国防予算は、前年度実績を約10%上回る四千八百十億ドルを確保する。
イラク・アフガニスタン関連予算は、〇七年度は既に成立済みの七百億ドルに加え、今後一千億ドルの補正予算編成を要請し、総額では一千七百億ドルに達する見通し。
〇八年度は一千四百五十億ドルに縮小、〇九年度はさらに五百億ドルとする方針を示すが、累計ではベトナム戦争を超え、第二次大戦後で最大規模の戦争支出となる。>
<社会保障改革では、高齢者医療保険(メディケア)や低所得者医療保険(メディケイド)など、医療保険制度の変更を提案する。
メディケアの保険料の自己負担引き上げなどを通じて、今後五年間で総額一千億ドル超の財政支出抑制を図る。>
★国防予算と国土安全保障費は聖域扱いが続くというから、まさに戦争国家だ。その米国に引きずられていく日本政府。(続く)
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2007年2月5日(月)
<「権力者の道徳心は不問」〜 思うままに 〜梅原猛(哲学者)/東京新聞1月29日夕刊、文化欄から>
<安倍首相は昨年九月の就任以来、日本は文化、伝統、自然、歴史を大切にする美しい国であると唱え、「美しい国」づくりを主なる施政方針としているようである。
安倍首相の言葉を聞いて私は、約一世紀前に安倍首相と同じように「日本は美しい国である」と言った詩人文学者のことを思い出した。
小泉八雲と名を変えて、「美しい国」日本に帰化したラフカディォ・ハーンである。>
(ハーンについての詳しい説明の部分は、引用を割愛する。)
<四十歳のころ来日し、島根県の松江中学校の英語教師になった。…その後、ハーンは熊本や神戸や東京に移り住んだが、彼は、とうとうたる日本の近代化あるいは西欧文化の流れの中で日本の美しさが失われるのではないかと深く憂えたのである。
ハーンは日本文化を世界に紹介した恩人として日本人に知られたが、彼の憂いは近代化に奔走する当時の日本人にはほとんど理解されなかったといってよい。>
<安倍首相の「美しい国」日本の賛美はハーンを思わせるが、その内容は以下の三点において異なると思う。
(1)ハーンの場合、日本を美しい国と言っているのは美を探究することを職業としている異国の詩人文学者であるが、安倍首相の場合は日本の最高権力者である首相自らである。
同じように日本を美しい国と言っても、異国の詩人が言うのと美を探究することを職業としない日本の首相が言うのでは大きな意味の違いがある。
(2)一神教の文化に絶望したハーンは、多神教の国日本を驚きとともに発見したのであり、その認識は日本の文化の深層に届いている。
しかし安倍首相の場合、どのような発見があり、どのような認識があるのか、判然としない。
(3)ハーンが美しい国と言うのは、自然の美しさもさることながら、それ以上にその国に心の美しい人間が住んでいるからである。
心の美しさというのは、すなわち道徳の高さである。彼は当時の日本人、主として出雲の日本人に、決して嘘を言わず、誇り高く礼儀正しい人間を見たのである。
しかし故意か偶然か、安倍首相が日本を「美しい国」と言うとき、美しい国の人間、特に多くの日本人の手本にならなければならない権力者の道徳心の高さについてまったく語らない。
次回、まず第三の点から論じることにしよう。>
★安倍首相に対する痛烈な批判を読み取ることができる。「権力者」の道徳心については、政治資金の問題一つを取っても、ウソとごまかしに満ちていることは、ご存知の通りだ。
「決して嘘を言わず、誇り高く礼儀正しい人間」を政権与党の中に発見しようとすることは、至難のわざと言うべきだろう。
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2007年2月4日(日)
<「教育再生会議を批判する」朝日新聞1月29日朝刊、時流自論(本田由紀・東京大学助教授)から>
<安倍政権下で慌ただしく「教育再生」が進められようとしている。
教育基本法がどたばたと「改正」された次のステップは、首相直属の教育再生会議を通じた、文科省にも諸審議会にも縛られることのない「機動的」な改革の実施である。
教育についての科学的な検証に従事している者をひとりも含まないメンバーから成る教育再生会議が、インパクト重視でまとめた報告書。
その提言が、将来この社会を担うすべての子どもたちの毎日の生活を大きく左右しかねないことに対して、計り知れない危機感を感じる。>
<危うい論点は多々あるが、ここでは「ゆとり教育」への決別と「学力向上」を意図した授業時間数の増加に焦点を当てよう。
それに関する問いの第一は、授業時間数を増大させることによって「学力向上」は達成されるのか、ということである。
ある研究グループが、学校の授業時間数と国際学力調査の成績との関連を分析した結果によれば、関連は認められない。
特に初等教育に関しては、成績が上位にある日本、フィンランド、韓国、イギリスなどは、いずれも授業時間数の短い国々である。>
<第二に、そもそも「学力向上」の必要性の根拠となっている「学力低下」は現実に生じているのか。…
日本の児童生徒の学力は、国際的に見ても総じて非常に高い水準をいまだ維持している。
ただし、読解力の結果では、日本の成績上位層には低下が見られないが、成績下位層の比率と点数低下傾向が増大しており、全体ではなく下方に「底が抜ける」形での低下が危惧されることは忘れてはならない。>
<それに加えて、…日本の教育の最大の問題は、子どもが教育内容に生活や将来との関連性や意義を見いだし得ていないことなのだ。>
<今の日本の教育は、授業時間増といった量的な「改革」でもって何かが良くなるような状況にはない。
問題は量ではなく質なのだ。この点で再生会議が今後いかなる提案を行うかを注意深く監視していく必要がある。
今回の報告のように手前勝手に「愛」や「規律」「奉仕活動」を押しつけても、子どもたちはいっそう内面的な離反を強めるだけである。>
★ここには重要な論点が提示されている。実生活や仕事との関連性を強化し明示する教育内容。履修主義から習得主義への転換。
胡散臭い上からの押しつけを、厳重に監視していこう。
教育再生会議の提言の筆頭は、ゆとり教育の見直しと学力向上だそうだ。さらに、授業時間数の1割増、いじめをした児童への出席停止、奉仕活動の必修化。
かつての軍国主義教育の上からの命令至上主義を思い起こす。時代錯誤というべきだ。
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2007年2月3日(土)
<「福井さんと角田さんと」 「政」理整頓 谷政幸・論説副主幹/東京新聞1月30日朝刊コラムから>
地位に恋々として、辞め際の悪い人物がなんと多いことか。このコラムはその典型と、身の処し方を取り上げている。後に続く人、熟読を。
<この一月、後味のとても悪かった出来事?。まずは日銀・金融政策決定会合での「利上げ見送り」を挙げねばならない。
日銀総裁の福井俊彦氏はかねて利上げ積極論であったと聞く。見送りへ転じた心変わりは政府・自民党首脳の「上げるな」圧力のせいであったのかどうか。
その内幕は知る由もないし、判断の是非をとやかくいう専門知識も持ち合わせないが、この政治家の、庶民レベルへ話を引き寄せた発言はうなずける。>
<自民党の加藤紘一氏。「景気の良さは小泉政権の構造改革もあろうかと思う。しかし六年間にわたって国民の貯金に利子を払わない。
千兆円の個人貯蓄に2%払ったとすると二十兆円。消費税8%分の金額だ。
それを企業と銀行、多大な債務を持つ政府の借財に充てていた」
「日銀総裁が、せめて少し利子がつく政策にと言ったら、そっちの方が私は正しいと思う。利子もつかない社会ではいつまでも消費が伸びない。
人々は元手は使わなくても利子は使う」>
<福井氏はこの論をどう聞くだろう。日銀が後日公表した議事要旨によれば、景気拡大や個人消費の見通しで、意見がまとまらなかったとされる。
非礼を顧みず書く。村上ファンドとの不適切な関係を指摘される前の福井氏なら、この六年を抜け出す方向へ議論のリードを貫いたのではあるまいか。>
<現状維持か変更か。どっちの道が国民生活にプラスかを大局で判定すべき人が、個人的な負い目から、当たり障りのない脇道へ退避したか。
福井氏にはそうした疑念がつきまとった。>
<もう一つ。後味の悪さではこっちの方が格上であったかも。参院副議長の角田義一氏。
取りざたされた事柄の真偽のほどはわからない。ご本人の説明が終始はっきりしなかったからだ。
疑いをかけられた時点で身を引き、立法府全体に範を示す。そうした気概、潔癖を披瀝していたら、国民の目も変わっていただろうに。>
<偉くなる人は、なった瞬間から、いざというときの腹を固めておくことだ。官も、民も、政治家も?。>
★腹を固めているような人は、大体、話題にのぼらない。さっさと辞めてしまうから。
地位に恋々とするから、観客が集まる。客引き上手と、賞賛すべきではあるまいか。
いま話題の人物は、たいした役者だと感嘆する。拍手。
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2007年2月2日(金)
<宇宙が狙われている 「宇宙基本法」の危険性 技術の軍事利用への道/池内了(いけうち・さとる)総合研究大学院大教授、宇宙物理学。東京新聞2日夕刊文化欄から>
<すべての技術は二面性を持っている。戦争の遂行のための軍事利用と人々の生活の便宜のための民生利用である。
一九六七年に国際的な宇宙条約が結ばれ、月その他の天体はもっぱら「平和的目的のため」に利用することと定められた。>
<しかし、昨年以来、自由民主党が中心となって宇宙開発を質的に改変しようとする「宇宙基本法(仮称)」制定の動きが急ピッチで進められている。
その法案骨子では、「平和利用」の解釈を「わが国の総合的な安全保障に寄与する」として軍事利用への道を拓くことを画策し、直接的には解像度の高い情報収集衛星や早期警戒衛星の開発・保有を目指そうとしているらしい。>
<これには経済界の強力な後押しがある。一九九〇年に日米合意(いわゆるスーパー三〇一条)によって…日本の宇宙産業が壊滅状態になったのだ。
その失地を回復するために、宇宙の「ミリタリゼーション」に踏み込み、…なりふり構わず国家に寄生する経済界の浅ましさを見る思いがする。>
<日本という国は、憲法第九条の下で平和を希求するという側面が高く買われて国際的信用を勝ち得てきた。
それをかなぐり捨てようとするのが昨今の動きであり、宇宙の軍事利用の画策もその一つである。
このまま進めば確実に軍産複合体国家となろうことは目に見えている。>
<宇宙に軍事は似合わない。…そのためには、自主・民主・公開の原則をもとにした健全な宇宙開発を続けることである。
宇宙基本法は技術の軍事利用という重大な問題を抱えながら、あまり知られないまま制定されてしまう恐れがある。多くの方々の関心と議論を期待したい。>
★そんな恐ろしい計画が進行しているとは、全く知らなかった。早くこの事実を広く知らせて、世論を呼び起こそう。
カネのためには宇宙でも何でも売ったり、買ったりするとは、浅ましくも恐ろしい。
最近の財界は、政治の買収を公然と行っている。どこに「美しさ」があるというのか。
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2007年2月1日(木)
<「政界から自立促す判断」 NHK番組改変訴訟 全面勝訴 沸く原告 「『圧力』も暗に認定」 密着体質 変わってない/東京新聞1月30日社会面から>
<取材対象者の期待や信頼を裏切ったり、説明をしない編集は違法?。
二十九日の東京高裁判決は、戦時中の従軍慰安婦問題を扱った番組で政治家の顔色をうかがったNHKの姿勢を厳しく非難した。
原告の市民団体は「全面勝訴」と喜びにあふれたが、特別な事情が認められた場合に編集の自由に一定の制約が認められた側面も。
識者からはメディア全般が政治介入に対して独立性を保つよう警告する声も相次ぎ、重い課題を突きつけた。>
<番組内容の改変を行うそもそもの動機が政治家への配慮だった?二十九日の東京高裁判決は、当時のNHK幹部が自民党国会議員らと面談後、「相手側の発言を必要以上に重く受け止め、その意図を忖度(そんたく)してできるだけ当たり障りのない番組」にするために修正が繰り返されたと認定した。
時の政権党の顔色をうかがって行動するとささやかれてきたNHKの体質的な弱さが司法の場でも明確に指摘された。>
では、関係者、識者の見解は。
今回問題になった番組に出演し、改ざんを指摘してきた東大の高橋哲哉教授(哲学)<NHK側が改変の主導権を果たしたと認められたので、その点は評価できる。
NHK幹部は安倍晋三氏ら政治家の発言の意図を過剰に忖度し、編集権を乱用して制作現場に改変を迫った。
一方で政治家の発言が番組制作への介入、圧力になると認められなかったのは残念。もっと踏み込んでほしかった。>
桂敬一・立正大学文学部講師(ジャーナリズム論)<政治家に迎合して番組を改編したNHK本体の責任を認めた当然の判決。
ほかの多くのメディアは、朝日新聞が「政治家の介入があった」と報じた後、問題を単なる「朝日対NHK]の構図に矮小(わいしょう)化してしまった。
しかし、控訴審判決は、メディアの独立性という最大の論点をあいまいにしてきた同業者の姿勢も裁いた、と言える。
報道各社は、NHKと朝日新聞社のどちらのジャーナリズムの在り方が正しかったのか、再点検してほしい。>
★私の読んだところでは、東京新聞の記事がわかりやすい。今後も折に触れてこの問題を考えてみたい。
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島田三喜雄(ジャーナリスト)
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